NPO法人多言語センター FACIL 様

医療分野の多文化共生に向けて
同行通訳と遠隔通訳の連携で助成事業に参画

  • 1995年の阪神・淡路大震災における外国人被災者に向けた避難情報などの多言語翻訳ボランティア活動が発足のルーツである多言語センターFACIL様。現在では、神戸を拠点に自治体、教育機関、NPO・NGO、企業と協力して翻訳・通訳をコミュニティビジネス(※)として推進されています。
    東和エンジニアリングは、ビデオ会議を活用した医療通訳 遠隔サービス「Medi-Way」によりFACILと連携を行い兵庫県下における安定した医療通訳サービスの基盤づくりおよび提供に取り組んでいます。

    ※コミュニティビジネス:地域の主体となり、地域の資源を活用して、地域の抱える課題をビジネス的手法で解決し、コミュニティの再生を通じて、
    その活動で得た利益を地域に還元すること。

  • FACIL通訳者の同行通訳による診察
    FACIL通訳者の同行通訳による診察

  • 東和通訳センターでのビデオ会議による遠隔通訳
    東和通訳センターでのビデオ会議による遠隔通訳

多言語センター FACIL
代表 吉富 志津代 氏にお話を伺いました

  • 課題

  • 社会貢献として携わってきた医療通訳コーディネートの依頼が増加
    通訳者不足や経済的な圧迫が生じてきた

■採用のポイント
医療通訳コーディネートの体制確立は社会的課題
ビデオ通訳による同行通訳者の負担軽減に期待

20年程前から医療通訳のコーディネートに携わっていますが、近年では、依頼件数が年間1000件に達し、一市民団体が担えるボリュームではなくなってきました。医療機関、患者双方からのニーズを鑑みて持続可能な体制づくりが急務であることから、今回の助成事業における行政の“コーディネート費用一部負担”を利用して医療機関・患者・通訳者・企業・NPO・行政が協働する先駆的な事業に取り組み始めました。
東和エンジニアリングとの協働については、従来の同行通訳とビデオ会議を使った遠隔通訳という形態を医療現場の状況や緊急性などに応じて提供することにより医療機関・患者、通訳者・コーディネーターなど関係者の負担軽減やサービス向上につながると感じたからです。また、医療通訳の普及および発展には、社会が一体となり患者の立場に立った温かいサービス提供が必要であるという姿勢にお互いが共感できたことも大きな要因です。

NPO法人多言語センター FACIL 代表 吉富 志津代 氏 (名古屋外国語大学 教授)

NPO法人多言語センター FACIL
代表 吉富 志津代 氏
(名古屋外国語大学 教授)

■導入の効果と今後について
選べる通訳形態のひとつとして
遠隔通訳の信頼性を知ってもらいたい

遠隔通訳は、米国では一般的な選択肢の一つです。システム的には珍しいものではないので、まずは、遠隔通訳であってもフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション、リアルタイムな資料共有などによる確実性と信頼性を実感してもらうことが大切ですね。医療機関では、状況に応じて選べる通訳形態が増えるというメリットは大きいと思います。

医療通訳 遠隔サービス「Medi-Way」。タブレット端末を活用した「ビデオ通訳」で逐次通訳を提供。遠隔地であっても、映像でつながることにより、表情や身振り手振り、書類、写真なども確認しながらの通訳を実現。

医療通訳 遠隔サービス「Medi-Way」
タブレット端末を活用した「ビデオ通訳」で逐次通訳を提供。
遠隔地であっても、映像でつながることにより、表情や身振り手振り、書類、写真なども確認しながらの通訳を実現。

多文化共生に向けてボランティアに依存しないしくみが必要

今後は、医療通訳の公的制度の整備と共に、コーディネート機関が増えることも重要です。医療通訳の利用者は住民や旅行者など多様なので、病院に限らず、自治体や保険会社などとの連携が必要。FACILとしては、医療通訳制度確立後は、これまでのコーディネートノウハウを伝えてゆくことで、社会的課題の解決に貢献したいと考えています。
ボランティア的な通訳・翻訳は、社会全体において必要ですが、ボランティアへの依存は長くは続かないですし、社会に浸透しません。多言語情報が“何かあった時にだけ助ける”存在になるのではなく、社会のしくみの一つとして確立される。さらに、多言語の技術や専門性を持った人たちの仕事の創出につながるような社会であれば、今後の多文化共生がより良いものとなります。今回の協働スキームが患者の助けになるのはもちろん、全国で展開されるような先駆的成功モデルになるよう期待しています。

FACIL事務所内のベトナム語遠隔通訳者

FACIL事務所内のベトナム語遠隔通訳者

(公財)兵庫県国際交流協会 「平成30年度 医療機関における外国人患者受入環境整備助成事業」

(公財)兵庫県国際交流協会 「平成30年度 医療機関における外国人患者受入環境整備助成事業」
行政(兵庫県他)が医療通訳者のコーディネート費用を一部負担することで、病院・患者・通訳者・企業・NPO・行政が協働する体系を構築
主に発生する費用は、FACILのコーディネート費、東和エンジニアリングによるFACIL事務所への遠隔通訳機材設置費

Information

NPO法人多言語センター FACILロゴ

NPO法人多言語センター FACIL

https://tcc117.jp/facil/

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